ここは、「鏡幻屋」コラボパラレル作品『学園都市《天華》』の、長編及び各学園や島内で起こる日常の小ネタなどを置く、小説広場です。
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氷月祭プレSSその5、再録・加筆修正済です。
学園都市の中心部に建つ、中央図書館。
その最上階に位置する、茜色に染まる豪華な部屋に「彼女」の姿はあった。
夕日で橙色に輝かせた金色の長髪はソファの革の上に散らばり、スカートから覗く素足は、その白さを一層際立たせて魅せる。
柔らかなソファに寝そべった姿は、まるで女神を描いた一枚の絵画ようだ。
しかし机に積まれた書類の束を読み終えるなり、「彼女」は大爆笑した。
「…うっせぇ。廊下まで響いてんぞ」
「ハハハっ……わ、悪ぃっ…ククっ」
顔をしかめて入ってきた相棒に、謝りながらも「彼女」は笑いをやめる気配はない。
不審な顔をする彼に、黙って持っていた書類の束を突き付ける。
さらりと目を通した彼は、そこでようやく「彼女」が笑っている原因を理解した。
「…やっぱ、笑いすぎだろ」
「だって!こーんな面白いことがアチコチであったなんて、さっすがオレ♪」
「はぁ。っつーか、ンな格好で寝転がるな。目に毒だ」
「目の保養、って言ってほしいんだけど」
妖艶に笑ってみせる姿に、襲うぞコラ、とため息一つ返して、彼は手に持っていた手紙の束で「彼女」の軽く頭をはたいた。
「予想通り来てたぞ。陳情書と礼状。ったく。アッシュフォードはいつも碌なことしねぇな」
「いいじゃん。あーあぁ、やっぱ見に行きゃよかった!!」
「お前まで行ったら、あと大変だろうが」
黒髪の彼が呆れながらも笑いを隠しきれないことに、「彼女」…この学園都市にいる生徒たちの主は満足そうに微笑んだ。
「ミレイ先輩、写真撮ってるかな?」
「そりゃあ撮ってるだろ。ナナリー嬢も持ってるんじゃねぇか?」
「あ、そっか。帰ったら見せてもらおうっと」
ソファから勢いよく飛び降り、「彼女」は一枚の書類にサインすると、部屋の隅に設置した衝立の裏に回った。
彼はその間に散らかされた書類を回収して、決済済みとそうでないものを的確に分けていく。
シュル、という衣擦れの音がやけに大きく響く。
「で、今日の商談は上手くいったのか?」
あらかた片付いたところで、彼は「彼女」に尋ねた。
「誰に言ってんだよ、シカ」
「お前以外に誰がいるんだ?ナル」
自信に満ちた返答に、彼…奈良シカマルはまとめた書類を執務机に置きながら、肩を竦める。
「これも《王姫》の仕事のうち、ってね」
「彼女」…いや、陽炎学園の制服に着替えた少年・渦巻ナルトが、衝立の裏から出て、にやりと笑った。
普段とは違う、性別の曖昧な美貌に見惚れながらも、シカマルはふと気になったことを尋ねた。
「そういや、ヒナタは?」
「ネジと一緒に陽炎の生徒会の手伝い。冬獅郎先輩が、一護と一緒に借りてった」
「双子は…研究ってとこか」
「そ。書類配りした後、先に帰ったよ。接着玉の改良するんだってさ」
「あいつら、イタズラの研究好きだなぁ」
熱中したら止まらない双子を思い出し、では、ここにいないあと2人はどうしたのか、と訊こうとした時。
学生会室の部屋に供えられた、電話が鳴った。
ディスプレイに示された名前を見て、ナルトはすぐに受話器を取る。
「クマ、何か用?」
『こら。クマじゃねぇ、アスマ、だ。あと、後ろに先生つけろ』
お決まりの文句におざなりに返事し、要件を聞く。すると、呆れた声が返ってきた。
「お前なぁ。自分が頼んだことも忘れたのかよ」
「覚えてるって。サンキュ。ちゃんと調べ終わった?」
『あぁ。ったく、面倒事増やしやがって。まだマシっちゃあマシだけどよ』
「なに?コレより面倒なことってあるの?」
不思議そうに尋ねたナルトに、アスマは感慨深く言い切った。
『この世で最も面倒なのはテストの丸付け作業、そして進路相談だ』
「どっちもオレ達の人生に大きな影響を与えるから頑張って下さい」
神妙な口ぶりで言ったナルトに、アスマは電話の向こうでおどけてみせた。
『そう思うなら、ちょっとは手伝ってくれ』
「オレ、一般生徒その一」
「同じく、その二っスから」
『おい、後ろの奴聞こえてるぞ!大体、とっくに大学レベル越えてるやつらが、一般生徒とか抜かすな』
予想していた答えに、2人は声を殺して笑う。だが、相手には筒抜けだったらしい。ため息一つ聞こえると、アスマは続けた。
『データ、途中で兄妹に渡したから、もうちょっとで届くと思うぞ』
じゃあな、と一方的に切られた途端、扉をノックする音がした。
「なんだ、お前たち2人だけだったのか」
「アスマ先生から、USBをお預かりしてきました」
現れたのは、アッシュフォード学園の制服を纏った、黒髪の美少年とセピア色の髪の美少女。
学生会メンバー、残る2人である、ランペルージ兄妹だ。
「ありがと、ナナリー様。殿下、すみません。買い物の最中に」
ナナリーからUSBを受け取りながら、ルルーシュの持ってる手荷物を見て、申し訳なさそうにするナルト。
そんな彼に苦笑し、ルルーシュは冗談めかして言った。
「そうだな。もう少し買いたいものがあったんだが、この後それに付き合ってくれるなら、チャラにしてやろう」
「了解です。どうぞシカマルをこき使ってください」
「って俺かよ!!」
驚いたシカマルに、一同笑いが起きる。聞けばどうやら、2人がいなかったのは夕飯の買い物を頼んでいたからで、ルルーシュの言う買い物はもう終わったらしい。
彼ら4人は、同じ黒桜寮の寮生で、今日の夕飯はルルーシュの当番の日だった。
「じゃあ、お買い物も終わりましたし、帰りましょうか」
「だな。あまり遅いと、チビどもがお腹すかせて倒れるかもしれねぇし」
「それより、昶が食事抜いてしまうんじゃないかの方が心配なんだが」
「帝人先輩が見てるから大丈夫でしょ。あとは、情報屋が寮の周りにいてなきゃいいなって祈るだけだ」
情報屋の人を喰ったような笑みを浮かべて、ナルトたちは顔を顰めた。
ナルトの言う情報屋…折原臨也と、帝人の従兄である平和島静雄の仲が最悪に悪いことは、この島では有名な話だ。
おかげで、どれだけの建物が損壊したかと思うと、胃が痛む…と学生会会計のネジが呟いていたのは、記憶に新しい。
さて学生会室を出ようと、先を行くランペルージ兄妹を追いかけるシカマルに、隣に並んだナルトが話しかけた。
「さぁって、シカ。忙しくなるのはこれから、だぜ」
「どうした、いきなり?寮のセキュリティ強化の話か?」
彼は微笑むだけで答えず、一枚の書類をシカマルに渡した。
それを一読し、一瞬で理解した彼がなるほど、と呟くと、ナルトは鮮やかな笑顔を見せた。
「今年は忙しくなる。よろしく頼むな、相棒」
「めんどくせー…が、まぁ、やってやるよ」
コツリ、と2人の両手の甲が合わされた。
不敵に言う彼らの表情は、秘密を共有する共犯者の笑みで彩られていた。
こうして、誰もいなくなった学生会室の一日は、重厚な扉に落とされた鍵の音で終わった。
金曜日の悪魔
~放課後にいる姫のアナタと
黒の補佐~
~放課後にいる姫のアナタと
黒の補佐~
天華七不思議の一つ、学生会の様子でした。
学生会会長・通称《王姫》がナルト、会長補佐・通称《守護者》がシカマル。その他ランペルージ兄妹、ヒナタ、(たまにネジ)、一護、エルリック双子で構成されてます。
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